2012年

8月

29日

車の売買契約書と印紙

 

久しぶりの更新です。

 

体が丈夫なとこが私の長所なのですが、久しぶりに風邪をひきました。

だいぶ良くなりましたが、夏風邪はしぶといですね。

まだ完治しておりません。

 

皆さんもお気を付け下さい。

 

 

さて、わたくしごとですが、車を売却することになりました。

ネットオークションでの個人売買です。

トラブルを避けるために売買契約書を作成することにしました。

 

さて、この契約書には印紙を貼るのでしょうか?

 

 

答えは「NO」です。

 

自動車売買契約書には、収入印紙を貼る必要はありません。

(法人も個人も)

 

「自動車売買契約書」

実はこれ、以前は課税文書でした。

平成元年4月から不課税文書になっています。

(不課税=課税対象ではない文書です)

 

つまり、

消費税の導入と同時に、不課税文書に変更されたのです。

 

正式には不課税文書に変更されたのは、名称は物品売買契約書です。

動産(船舶と航空機を除く)の売買が対象から外されたのですね。

 

 

そもそも印紙税は、

「印紙税法 別表第1」

に掲げられている文書を課税対象にしています。

 

これらの文書を作成するような取引を行うなら、それなりの担税力がありますよね?

だから、文書に記載した金額に応じて税金を払ってくださいね。

 

そういう税金ですね。印紙税は。

 

だから物品ぐらいの金額なら、消費税を課税したら担税力も減るし、印紙税は免除してあげる。

そういうことなのでしょうか?

印紙税も金額が少ないから、事務処理を考えて免除にしたのかもしれませんね。

 

 

さて、自動車売買契約書を作成して、売却代金を頂いたら、

個人売買と言えども、領収書は出しますよね?

出さないとしても、契約書に領収した旨の記載を書くと思います。

 

では、この領収書(又は領収した旨を記載した契約書)には収入印紙は貼るのでしょうか?

 

答えは、やはり「NO」です。

 

売却代金の領収書にも印紙は不要です。

 

 

ただし、車の売却を商売として行っている場合は貼る必要があります。

 

印紙税法第5条(非課税文書)に、

「別表第1の非課税物件の欄に掲げる文書」には印紙税を課さないとあります。

 

別表第1の17号文書の非課税物件の欄には、

「営業に関しない受取書」とあるのです。

※領収書は17号文書です 。

 

印紙税は、担税力をもとに課税されます。

だから、営業として行っていない単発の売買については課税されないことになっています。 

 

消費税も同じです。

 

消費税の納税義務者は、事業者に限定しています。

 

(消費税法第5条)

「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある」

 

事業者でない人が売却する場合は対象外です。

  

 

ちなみに印紙税、原則は不課税ですが、例外があります。

 

1.契約書に貼付する印紙の例外

「単発」これがミソです。

基本的に、売主も買主も事業者であり、継続して取引が発生する場合は、

7号文書「継続的取引の基本となる契約書」として4000円課税されます。

 

2.領収書に貼付する印紙の例外

「営業に関しない受取書」の営業とは?(以下、国税庁の質疑応答より)

  利益を得る目的で、同種の行為を継続的、反復的に行うこと。

  営利目的がある限り、現実に利益を得ることができなかったとしても、

  また、当初、継続、反復の意思がある限り、1回でやめたとしても営業に該当します

 

 

意外と知られていない(?)印紙税のお話でした。

 

もっと知りたい!

そんな人は、こちらへ→ 印紙税の歴史と税理士の役割

 

 

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2012年

8月

29日

印紙税の歴史と税理士の役目

 

そもそも印紙税はいつからあるの?

 

これが結構古いんですよね。

1873年(明治6年)だそうです。

 

世界で初めて採用されたのは、1624年オランダだそうです。

スペインとの独立戦争で財政難だったため、新たな税収として印紙税を導入したとのこと。

他の税金に比べて重税感がないということで、各国も導入するようになったと言われています。

 

ようは戦費を稼ぐための税金だったのですね。。

 

相続税と同じですね。

相続税も明治37年に、戦費のために導入されたとか。

 

「担税力に応じた課税を」とか、

「富の再分配」とか

そういった課税根拠は、あとからのこじつけですね。

 

相続税のお話は、また別の機会として、印紙税のお話に戻ります。

 

「印紙税」って、税理士試験科目にはありません。

 

また、税理士法でも税理士業務から印紙税は除かれています。

 

税理士法第2条(税理士の業務)

税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税等を除く)に関し、

次に掲げる事務を行うことを業とする

 

何故でしょう?

 

登録免許税もそうですが、勝手に課税されるから税理士の入る余地がないということでしょうかね?

でも、それを言ったら、「固定資産税」も同じですが・・

「固定資産税」を試験科目から外すという意見が出ているのは、そういった理由があるのでしょう。

 

確かに、税理士が印紙税についてやることと言ったら少ないですが、以前こんなことがありました。

 

法人の税務調査時に、印紙の貼付忘れを指摘されたことがありました。

しかし、税務署側が指摘してきた文書の種類が、間違えていました。

あやうく数万円を多く支払わされるところでしたが、こちらの指摘により数千円で済みました。

 

このように、印紙税だけの税務調査は聞いたことありませんが、

たいてい通常の税務調査の際に、印紙税の貼付忘れを指摘されます。

調査時に指摘されたら、貼付するはずの印紙代×3倍を納めなければなりませんのでご注意を。

 

 

印紙税の節税としては、

1.契約書等を紙で作らずデータ作成のみにする

2.通常、売主買主2通を作成しますが、1通作成して印紙添付、割り印後に、コピーし、それを片方が持つ

などがございますが、

1のデータ保存については、今後課税する方向で議論されている模様。

 

実際、課税するためには多くの問題がありますので、実現するには大変だと思いますが。。

 

 

もっと詳しく!? → 税理士は営業ではない!?

 

 

2012年

8月

29日

印紙税の営業とは!?

 

印紙税法 別表第1 17号文書の非課税文書では、「営業に関しない受取書」とありますが、

この「営業」とは!?

 

もっと詳しく見てみましょう。

 

営業の行為とは?

 利益を得る目的で、同種の行為を継続的、反復的に行うこと。

 営利目的がある限り、現実に利益を受けることが出来なかったとしても、

 また、当初、継続、反復の意志がある限り、1回でやめたとしても営業にあたります。

 

 具体的には、商法のなかの商行為法にある商人と商行為をいいます。

 (ちなみに、商法はまだありますよ。商法の中の大部分が会社法になっただけです。)

 

商人とはどういう人なの?

 商法第4条(定義)

  商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。

 

商行為とは?

 商法第501条~503条 下記参照

 

つまり・・

営利を目的として同種の行為を反復継続する行為は「営業」となります。

 

よって、医師や弁護士等の行為は「営業」にはあたらない。

 

だそうです。

 

なんか、解せませんね・・

 

そして、この「等」の中に、税理士も含まれます。

 

これも解せませんかね?

 

共通しているのは、いずれの職業も、憲法で認められた権利義務が関係しているのかもしれません。

 

 

  憲法第25条

   すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する

 

  憲法第29条

   財産権は、これを侵してはならない

 

  憲法第30条

   国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う

 

 

 

医師も弁護士も税理士も、商法上では商人ではない

ということですね。

 

だから、税理士報酬の領収書には印紙は貼りません。

 

 

以上、印紙税のエトセトラでした(^.^)

 

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