2018年

12月

23日

平成31年度税制改正大綱 配偶者居住権(2)

 

前回の続きです。

今回の税制改正大綱にて「配偶者居住権」の評価方法が記されました。

 

 

<居住用建物の評価>

 

(1)配偶者居住権の評価方法

   建物の時価 - 建物の時価×A

  

  A=(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

  ※1 残存耐用年数・・・所得税法の耐用年数(住宅用)×1.5-居住建物の築後経過年数

 

  ※2 存続年数・・・次のケースに応じて、それぞれの年数

      ①配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の間である場合…配偶者の平均余命年数

 

      ② ①以外…遺産分割協議等により定められた配偶者居住権の存続期間の年数

            (配偶者の平均余命年数を上限とする)

 

(2)所有権の評価方法

   

   建物の時価 - 配偶者居住権の価額

 

 

<居住用建物の土地の評価>

 

(1)配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利

   土地等の時価 - 土地等の時価×続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

(2)居住建物の敷地の所有権等

   土地等の時価 - 敷地の利用に関する権利の価額

 

 

2018年

12月

20日

平成31年度税制改正大綱 配偶者居住権(1)

 

平成3076日に「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立し、同年713日に公布されました。

 

  今回の改正内容は下記。

  1. 配偶者の居住権を保護するための方策
  2. 遺産分割に関する見直し
  3. 遺言制度に関する見直し
  4. 遺留分制度に関する見直し
  5. 相続の効力に関する見直し
  6. 相続人以外の貢献を考慮するための方策

 

施行期日は、内容により決められており、上記(1)の場合は、「公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日」となっています。

 

つまり、平成30713日の公布の日から2年なので、平成32713日までの間に施行されるということになります。

 

 さて、今回の税制改正大綱にて「配偶者居住権」の評価方法が記されました。

 

評価方法のお話の前に、今回は、そもそも「配偶者居住権」とは何かを軽くご説明します。

 

「配偶者居住権」は2つあります。

 

 

 <配偶者居住権 新民法1028条~1036条>

 

 今までは、配偶者が居住建物を取得すると、それだけで法定相続分を超えてしまい、現預金を相続することが出来ず、その後の生活に不安が生じるというケースがありました。

 

 

そこで、配偶者の居住建物を、居住する権利である「配偶者居住権」と、その権利をの制約を受ける「所有権」とに分離して、配偶者が「配偶者居住権」を相続することで、他の現預金の相続を可能にするため今回の改正がありました。

 

「配偶者居住権」は登記をすることができます。

配偶者は、居住用建物の所有者に「配偶者居住権」の設定登記の手続きをするように請求できます。

 

 

<配偶者短期居住権 新民法1037条~1041条>

 

 今までは、配偶者が被相続人から無償で居住していた場合(使用貸借)は、遺産分割協議の成立までの間は住み続けることができるという判例の取り扱いが確立されています。

 

しかし、このケースだと、この居住用建物が第三者に遺贈されていた場合は、配偶者は相続発生日より居住権を失ってしまう。

 

そのため、民法改正により、配偶者は最低でも6ヶ月は住み続ける事が出来る制度が創設されました。

 

 

 

 

2018年

12月

16日

平成31年税制改正大綱 空き家税制

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例が、老人ホーム等に入所したことにより居住の用に供されなくなった家屋及びその敷地の用に供されていた土地等は、一定の要件を満たす場合に限り、3,000万の特別控除の適用が可能となります。

 

現行制度は、平成31年12月31日まででしたが、4年延長されることになりました。

改正は、平成31年4月1日以後に行う譲渡から適用です。

               

現行制度の要件に加え、下記要件が追加となります。

 

(1)被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと。

                          

(2)被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。                             

       

            

<現行制度のおさらい>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を譲渡し、一定の要件に該当するときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

                    

<一定の要件>

1) 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋・土地等であること。  

2) 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

3) 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

4) 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

5) 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

6) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

7) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

8) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

9) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

10) 売却代金が1億円以下であること。 

11) 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

12) 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

13) 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。(特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。)  

 

 

 

 

         

 

2017年

9月

05日

タワーマンション節税について

 

平成29年の税制改正にて、タワーマンションの固定資産税の改正がありました。

 

「タワマン節税」と言われているタワーマンション購入による節税対策。

 

 

これは、相続税だけでなく、固定資産税、不動産取得税も節税になるという意味なのですが、今回、改正が入ったのは地方税である固定資産税。

 

税率は変わりなく、固定資産税評価額の計算方法が変わったので、固定資産税評価額を元に計算する不動産取得税にも影響が及びます。

 

 

では、相続税は?

 

というと、実は変わりません。

 

相続税の計算は、財産基本通達   に基づいて計算するのですが、その計算方法は下記となっています。(家屋のみの説明です)

    

(区分所有財産)

3 区分所有に係る財産の各部分の価額は、この通達の定めによって評価したその財産の価額を基とし、各部分の使用収益等の状況を勘案して計算した各部分に対応する価額によって評価する。

 

「使用収益等の状況を勘案」 とありますが、マンションの場合、所有者の占有面積で按分します。

 

つまり、

 

一棟の固定資産税評価額×占有面積=所有者の固定資産税評価額(A)

 

となります。

 

 

 (家屋の評価)

89 家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平16課評2-7外改正)

 

 

 所有者の占有面積で按分した上記Aの固定資産税評価額×1.0=相続税評価額

 

相続税は、あくまでも一棟の固定資産税評価額を占有面積で按分して、所有部分の固定資産税評価額を計算し、(倍率1.0を乗じて)相続税評価額とします。   

 

つまり、一棟当たりの固定資産税評価額が変わらない今回の改正は、相続税の計算には影響しないということになります。

 

 

今回の固定資産税の改正内容をおさらい。

<対象となるタワーマンション>

 

    1.平成29年1月2日以後に新築

 2.高さ60m超

 3.平成29年4月1日前に最初の売買契約が締結された人の居住用占有部分を有するものを除く

 

  

<改正された計算方法>

 

マンション一棟の固定資産税評価額は変わらず、階数ごとに占有床面積を調整して、階数が上がるほど固定資産税評価額が高くなるように改正。

 

 

具体的に見ていきます。

 

 改正前の固定資産税の計算>

 

一棟の固定資産税評価額×占有床面積=その所有者の固定資産税評価額(A)

 

A×1.4%=固定資産税(都市計画税除く )

 

 

<改正後の固定資産税の計算>

 

一棟の固定資産税評価額×調整後の占有床面積=固定資産税評価額(a)

 

1.4%=固定資産税(都市計画税除く )

 

 

要は床面積を修正することでフロアーごとの固定資産税評価額を変えるということです。

  

ということで、タワーマンションを利用した相続税の節税は、まだ有効だということになります。

しかし、当ブログでも以前書きましたが、度を過ぎた節税対策は、「財産基本通達6項」の適用をする旨の国税庁の見解を示しているので注意が必要です。

 

(この通達の定めにより難い場合の評価)

6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

 

2015年

12月

28日

平成28年度税制改正大綱(個人所得税)

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

(1)内容

居住用財産の譲渡所得の3000万円の特別控除を適用することができる

(2)要件

  1. 相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋及びその敷地
  2. S56531日以前に建築されたものであること(区分所有建物を除く)
  3. 相続開始の直前に居住していたのは、被相続人のみであること
  4. 上記家屋及び敷地を取得した相続人が、平成2841日~平成311231日までに一定の譲渡をすること
  5. 相続時から相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の1231日までの間に譲渡すること
  6. 当該譲渡の対価の額が1億円以下であること

 

(3)上記4の一定の譲渡とは

  1.  相続時から譲渡時まで、事業の用、貸付の用、居住の用に供されていたことがないこと

  2.  

     譲渡時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合すること

(4)その他要件

  1.  相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用とする
  2.  居住用財産の買換え等の特例との重複適用が可能

住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設

(1)借入金により改修工事、増改築等を行った場合

 ①内容

 

借入金年末残高の金額に応じ、一定割合を所得税額から控除する

 

    年末残高が250万円まで・・・ 年末残高×2%

 

    年末残高が250万超  ・・・ 年末残高×1%

 

    1000万円を限度)

 

 

②適用要件

 

   ・平成2841日~平成31630日までの間に居住の用に供すること

 

   ・返済期間は5年以上

 

   ・既存の住宅借入金等の特別控除との選択適用

 

   ・控除期間は5年間

 

 

 

(2)既存住宅に係る改修工事をした場合

 ①内容

 

   標準的な工事費用相当額(250万円を限度)×10%

   

   をその年分の所得税から控除

 

 

②適用要件

 

   ・平成2841日~平成31630日までの間に居住の用に供すること

 

   ・その年の前年以前3年内に、同じ税額控除の適用を受けていないこと

 

   ・その年分の合計所得金額が3000万円以下であること

 

   ・住宅借入金等の特別控除との重複適用は不可

 

 

 

 ※標準的な工事費用相当額とは、三世代同居改修工事の改修部位ごとに標準的な工事費用の額として定められた金額に当該三世代同居改修工事を行った箇所数を乗じて計算した金額をいう。

 

適用期限を2年延長する制度

(1)特定の居住用財産の買換え及び交換の長期譲渡所得の課税の特例

(2)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等

(3)居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除等

(4)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額を必要経費に算入する特例

非居住者期間中に住宅の新築等をした場合でも適用可能とする特別控除

 ①住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 

 

 ②特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例

 

 

 ③既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除

 

 

 ④既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

 

 

 ⑤認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除

 

 

 ⑥東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の重複適用に係る特例

 

 

 ⑦東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例

 

 

 

(適用要件) 非居住者が平成2841日以後に住宅の新築等をする場合に適用する。

 

医療費控除の特例の創設

(内容)

  健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、

 

  平成2911日~平成331231日までの間に、

  自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品

  購入費用(年10万円を限度)のうち、12,000円を超える部分の金額を、

  その年分の総所得金額等から控除する。

 

 

 

(一定の取組とは)

 

  予防接種、特定健診、定期健康診断、がん検診等の検診等を受けていること

 

 

 

(一定のスイッチOTC医薬品とは)

 

  要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品をいう。

 

  

  良く分かりませんね・・

  要は市販薬のことを言うようですね。

  

 

通勤手当の非課税限度額の引き上げ

   現行 : 10万円

 

   改正 : 15万円

 

   平成2811日以後に受けるべき通勤手当について適用する。

 

2015年

12月

16日

平成28年度税制改正大綱(法人税・固定資産税)

 

毎年恒例となった税制改正大綱の一気読み。

今年も気になる改正をメモします。

ただし、大企業にのみ適用されるものは除いています。

 

科目別に書きます。

 

2日に分けて書きます。本日は、法人税と固定資産税のみ。

 

法人税

1.法人税の税率引き下げ

  

  現行:23.9%

 

 

  改正:平成2841日以後に開始する事業年度から・・・23.4%

 

     平成3041日以後に開始する事業年度から・・・23.2%

 

 

  ※中小法人の軽減税率の特例(所得800万円までは15%)が、

   平成29331日までに開始する事業年度に適用あり。

 

 

  ※今回の改正は所得800万円を超える部分についてなので、

   所得が800万円以下となる法人には改正の影響はない。

 

 

2.生産性向上設備投資促進税制は、適用期限をもって廃止とする

   ※平成29331日までに取得したものに限る

 

(参考)

 

http://www.matsushimakaikei.com/2015/04/24/%EF%BC%92%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%8A%95%E8%B3%87%E4%BF%83%E9%80%B2%E7%A8%8E%E5%88%B6/

 

 

3.中小企業投資促進税制の上乗せ制度は、適用期限をもって廃止とする

   ※平成28331日までに取得したものに限る

 

(参考)

 

http://www.matsushimakaikei.com/2015/04/24/%EF%BC%92%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%8A%95%E8%B3%87%E4%BF%83%E9%80%B2%E7%A8%8E%E5%88%B6/

 

 

4.減価償却制度の見直し

  建物附属設備、構築物、鉱業用の建物の償却方法から定率法を廃止し、以下とする。

 

    〇建物附属設備及び構築物・・・定額法

 

 

    〇鉱業用の建物附属設備及び構築物・・・定額法又は生産高比例法

 

 

   ※平成2841日以後に取得するものから適用

 

 

5.欠損金の繰越制度の見直し

  

   (1)大法人の欠損金の繰越制度の控除限度額を段階的に引き下げる。

 

現行:80% 

改正:平成274月以降開始事業年度から段階的に引き下げ、

 

平成304月以降開始事業年度からは、50%とする。

 

  ※中小企業は控除限度額はなし。

 

 

(2)欠損金の繰越期間を延長する

 

  現行:9年  改正:10

 

  ※平成3041日以後開始の事業年度に生ずる欠損金から適用

 

 

(3)欠損金の繰越制度を適用した際の帳簿書類の保存期間を延長

 

  現行:9年  改正:10

 

  ※平成3041日以後開始の事業年度に生ずる欠損金から適用

 

 

(4)法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を延長

 

  現行:9年  改正:10

 

  ※平成3041日以後開始の事業年度に生ずる欠損金から適用

 

6.交際費等の損金不算入制度の適用期限を2年延長する

接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。

 

   現行:平成28331日までに開始する事業年度まで

   改正:平成30331日までに開始する事業年度まで

 

7.環境関連投資促進税制について見直しを行い適用期限を2年延長する

 現行:平成28331日までに取得するもの

 改正:平成30331日までに取得するもの

 

(1)風力発電設備について即時償却を廃止

 

(2)対象資産について

現行:太陽光発電設備

改正:再生可能エネルギー特別措置法の認定発電設備以外のものとする

 

  (3)税額控除の対象資産から車両運搬具を除外

 

8.雇用促進税制について

  地方活力向上地域特定業務施設整備計画に係る措置意外の措置について、

 

 適用の基礎となる増加雇用者数を、地域雇用開発促進法の同意雇用開発促進地域内にある事業所における

 無期雇用かつ、フルタイムの雇用者数の増加数(注1)としたうえで、その適用期限を2年延長する。

 

 

(下線)有効求人倍率が低い地域(愛知県、東京都、大阪府などは対象外)

 

(注1)新規雇用に限るものとし、その事業所の増加雇用者数及び法人全体の増加雇用者数を上限とする

 

  一定の調整措置を講じたうえで、所得拡大促進税制(★)との併用を可能とする。

 (★雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度のこと)

 

9.中小企業者等の少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入特例の見直し

  対象となる法人から、常時使用する従業員の数が1000人を超える法人を除外し、適用期限を2年延長する。

 

  現行:平成28331日までに取得事業供用

  改正:平成30331日までに取得事業供用

 

10.役員給与についての見直し

  法人の支給する役員給与について、役員から受ける将来の役務提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与についての事前確定の届出を不要とする。

 

利益連動給与の算定指標の範囲にROE(自己資本利益率)、その他の利益に関連する一定の指標が含まれることを明確化する。

 

11.企業年金等の掛金等の損金算入の対象に次の掛金等を加える

確定給付企業年金法等の改正を前提に、企業年金等の掛金等の損金算入の対象に次の確定給付企業年金の掛金等を加えるとともに、その掛金等に係る積立金を退職年金等積立金に対する法人税の課税対象に加える。

 

①事業主が将来の財政悪化を想定して計画的に拠出する掛金

 

②事業主が拠出する掛金で給付増減調整により運用リスクを事業主と加入者とで分担する企業年金に係るもの

 

③複数事業主制度における厚生労働大臣の承認等を受けて実施事業所を減少させる特例によりその現象の対象となる事業主が一括拠出する掛金

 

12.義務教育学校を設置する学校法人に対する寄付金について

義務教育学校を設置する学校法人に対する寄付金について、小学校及び中学校を設置する学校法人に対する寄付金と同様に、指定寄付金等の対象とする。

(所得税についても同様とする)

 

13.企業版ふるさと納税の創設(地方創生応援税制)

(内容)

 青色申告書を提出する法人が、地域再生法の認定地域再生計画に記載された同法の地方創生推進寄附活用事業(仮称)に関連する寄付金を支出した場合には、一定額を税額控除する。

 

 

(一定額とは)

その支出した寄付金の額の合計額の20%を法人住民税額(一部法人税額)から控除

その支出した寄付金の額の合計額の10%を法人事業税額から控除する

 

 

(適用期間)

地域再生法の改正法の施行の日から平成32331日までの間に、支出した上記寄附金

 

 

固定資産税

1.中小企業者等が取得した機械装置等の固定資産税の軽減

 

 (内容)

 一定の機械及び装置の取得をした場合に、固定資産税の課税標準を最初の3年間は価格の2分の1とする。

 

(適用要件)

  ①中小企業者等が取得

    中小企業者等とは、下記の法人または個人

     ・資本金等の額が1億円以下の法人

     ・常時使用する従業員数が1000人以下

 

  ②一定の機械及び装置

    ・販売開始から10年以内

    ・旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上すること

    ・1台又は1基の取得価額が160万円以上

 

  ③適用期間

   中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の施行の日から平成31年3月31日までに取得

 

 

2015年

7月

07日

平成27年税制改正 法人税率

 

デフレ脱却と経済再生をより確実なものにしていくことを目的とした平成27年度税制改正には、

 

「法人税改革」「住宅市場の活性化等のための税制上の措置」などがあります。

 

その中でも注目したいのが法人税の税率改正でしょう。

 

今回の改正では

「稼ぐ力のある企業などの税負担を軽減することで法人課税を成長志向型の構造に変える」

といった狙いがあるそうです。

 

法人税率の引き下げは平成27年4月1日以後に開始する事業年度において適用され、これまでの25.5%から23.9になりました。

 

また所得金額のうち年800万円以下の部分に対する税率19%が15%になる中小法人等の軽減税率の特例は、適用期限が2年延長されました。

 

これらにより国と地方を通じた法人実効税率は32.11になります。

 

財務省による2014年3月現在のデータでは、国と地方を合わせた法人税率はアメリカ40.75%、ドイツ29.59%、中国25%、韓国24.2%となっています。

 

なおアメリカでは州税に加えて一部の市で市法人税が課される場合があり、ニューヨーク市では連邦税・州税・市税を合わせた税率は45.67%となります。

 

また一部の州では法人所得課税が課されない場合もありネバダ州では税率が35%になります。

 

今後の日本は経済の好循環を実現するために、数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指しています。

 

 

2012年

9月

04日

消費税 密かな増税2

設立したばかりの消費税の納税義務についてです。 

 

消費税の納税義務は2年前の売上(課税売上)の金額が1000万円以下かどうかで判定します。 

つまり、設立してから2年間は2年前の売上がありませんから、最初の2年間は当然に免税です 

 

しかし、年の中途で設立した場合はどうでしょうか?

設立してから3年目の納税義務の判定は、1年目つまり、設立年度の売上で判定します。

たとえば平成2471日に開業した場合を見てみましょう。

 

 

この場合、第3期(H26)の消費税は、2年前の売上が700万円で、1000万円以下のため免税です。

 

 

では、法人はどうでしょうか?

 

法人の場合は、その事業年度開始の日の資本金の額が1000万円以上の場合は、

無条件に消費税は課税です

 

以下は、期首の資本金が1000万円未満の場合の判定方法です。

 

 

法人の場合は、2年前の売上を年間算して判定します。

1400万は1000万円超なので、3期目(H26)の消費税は課税です。

 

このように、個人と法人では納税義務の判定が変わってきます。

 

 

そして、ここからが改正点のお話です。

 

法人は、期首の資本金の額が1000万未満であれば、設立から2年間は無条件に免税です。

 

しかし、今後は、設立時期により2期目も消費税が課税になる可能性がでてきました。

 

 

 

改正によりますと、第2期(H25)の消費税の判定は、2年前の売上がないので、

今までは免税でしたが、今後は前期(H24)の期首から6カ月間の課税売上又は給与等の合計額が

1000万を超えていたら第2期(H25)も課税にするというものです。

 

しかし、上記のケースですと、設立年度(H24)の事業年度は6カ月間しかありません。

 

設立年度が7カ月以下の場合は、2期も免税となります。(改正の影響なし)

 

しかし、設立年度が8カ月以上あった場合は

期首から6カ月間の課税売上又は給与等の合計額が1000万円以下かどうかで判定しますので

注意が必要です。

 

法人の場合は、途中で増資した場合とか、途中で決算期を変えた場合とか

いろんなケースがございます。

その際の消費税の判定も注意が必要となります。

 

ご不明な点はお問合せください。

 

 

 

2012年

9月

03日

消費税 密かな増税

 

消費税と言えば、消費税増税の話題で持ちきりですが、

実はこの消費税、密かに(?)平成23年の税制改正で既に増税改正が行われています。

 

 

★平成25年1月1日以降開始の事業年度から適用★

 

個人事業の方または、12月決算の法人については、

その改正に係る届出書の提出期限が、平成2412にせまっています。

 

 

ざっくりと説明しますね。

個人事業者で説明します。

 

消費税を払う義務があるか否かは、2年前の売上金額によって判断されます。

 

たとえば来年、平成25年の消費税を支払う義務があるかどうかは、

平成23年の売上金額で判断します。

1000万円超であれば、平成25年の消費税を払わなければならず、

1000万円以下であれば、平成25年は払わなくても良いのです(免税)。

 

ところが、平成23年の税制改正で、2年前の売上金額が1000万円以下であっても、

1年前の1月~6月までの売上金額が1000万円超または、同月の給与等の合計額が1000万円超だったら、

平成25年の消費税は払いなさいよ。と改正されました。

 

つまり、

平成23年の売上金額が1000万円以下であっても、次のいずれかの金額が1000万円超であったら、

平成25年度は消費税を払ってね。ということです。

 

    平成241月~6月の売上の合計額

    平成241月~6月の給与等の合計額

 

給与等の合計額とは、

源泉所得税の納付書に記載する給与等の金額のことです。

 

源泉徴収をしていないアルバイトも入りますよ。

 

そして、その判定となった売上金額が5000万円以下であったら

消費税の計算方法に、「簡易計算」を選択できるのですが、その届出書の提出期限は、

適用したい事業年度の前事業年度の末日までとなっています。

個人事業の方 及び 12月決算の法人は、

平成2412月に、その届出期限を迎えます。

 

今年の1月~6月の売上金額をまだ集計していない方は、源泉所得税の納付書を見てください。

 

毎月納付の方は、1月から6月の給与等の金額を集計してください。

納期の特例を選択している方は、7月に納付した納付書を見てください。

 

該当する方は、簡易計算が有利なのか、本則計算が有利なのかを検討する必要があります。

 

うちはどうなの!?

と不安な方は、お気軽にお問合せ下さい。

 

また、設立したばかりの法人については少し計算方法が異なります。

その方法については、また後日。

 

 

※文中、売上金額とあるのは「課税売上金額」のことです。

 たとえば、不動産業の場合で土地の売上(非課税売上)は含まれません。

 

2012年

8月

08日

サラリーマンの必要経費

 

サラ―リマンの共通の悩み。

それは、いくら給与が増えても税金や社会保険で手取りが減ってしまう。

ということ。

 

サラリーマンの税金を計算する際、サラリーマンの必要経費と言われる「給与所得控除額」

というものが給与から控除されています。

 

これは、事業主は事業に使った経費を売上から控除出きるのに、

サラリーマンが出来ないのはおかしい。

という趣旨ですね。

 

給与-給与所得控除額-所得控除額  × 税率

 

 

事業をやっている人は、次の算式です。

 

売上-経費 - 所得控除額  × 税率

 

 

サラリーマンですから、仕事で使うものは、たいてい会社が出してくれるとは思いますが、

いまの時代、会社もできる限り経費を削減しようとしています。

 

それで仕方なく、給与から仕事関連のものを買ったり、

支払ったりしている場合もあるのではないでしょうか?

 

私なんかは会計事務所ですから、勉強は常に必要です。

 

特に書籍代やセミナー代、税理士になるための学校の費用、たいてい私服なので仕事用の服も必要です。

 

税理士になるための自分への投資ですから、当たり前のように給与から払ってきました。

 

税金を課せられた後の給与から払っているのです。

 

おかしいと思いますよね?

同じ経費なのに、サラリーマンは税金が貸された後の給与から払うのですから。

 

 

「給与所得控除額」

これは結構大きな金額です。

 

たいてい自腹で払った経費よりも、給与所得控除額の方が高くなります。

 

しかし、「給与所得控除額」以上に支払うこともあるだろう。

ということで、

「給与所得者の特定支出控除」という制度があります。

 

これは、自腹で払った経費が給与所得控除額よりも多かったら、その多かった部分も控除して

税金を計算しても良いですよ。

 

という制度。

 

自腹経費 - 給与所得控除額 = 追加で控除できる金額(A

 

 

給与-給与所得控除額-A - 所得控除額  ×  税率

 

 

 

この制度が平成24年の税制改正で、緩和されています。

(平成25年1月1日から適用)

 

給与所得控除額は、金額が結構大きいのです。

だから、自腹経費が給与所得控除額を越えることは、あまりありません。

 

だから、改正しましょうよ となりました。

どう改正されたか?

 

自腹経費 - 給与所得控除額×1/2 = 追加で控除できる金額(A

      (年収1500万超の人は125万)

 

となりました。

 

自腹で払った経費が給与所得控除額の半分以上なら、その半分を越える部分を控除して良いとなったのです。(年収1500万以下の場合)

 

さらに、税理士、公認会計士などの資格取得のための費用は、改正前は対象外でした。

 

これが対象になっています。

 

もう少し早く改正してもらいたかったが…

 

 

しかし、この制度

改正で緩和されたとはいえ、

「給与所得控除額」自体が金額高めなので、その半分とはいえ、

それを上回る自腹経費をサラリーマンが出すでしょうか・・・

 

 

年収

給与所得控除額

× 1/2

300

108

54

400

134

67

500

154

77

600

174

87

 

控除できる経費の範囲を見てみましょう。

 

    通勤費

    転居費(転勤等による場合)

    研修費

    資格取得費

    帰宅旅費(転勤先からの帰宅旅費)

    勤務必要経費(65万円を限度)

 ・職務と関連のある書籍代等(電子書籍含む)

 ・職場着用の服代

 ・職務に必要な交際費

 

転勤による引越し代や帰宅旅費、研修代、服代、交際費、資格取得費などが、

 1年間に集中して発生した場合は、給与所得控除額×1/2 を超えるかもしれませんが・・

 

それも、勤務必要経費(書籍代、交際費、服代)は会社の証明が必要ですし、

資格取得費用も仕事に直接関係がないと適用できません。

 

会計事務所で船舶免許とか取ってもダメということですね。

離島にいる顧客がいるなら別ですが…

 

 

ちなみに、税理士の会費は対象外だそうです。

税理士の会費だけがNGという訳ではなく、政治連盟の会費もNG

これは、民主党が提案したのだけど、自民党が反対して対象外になったらしいです。

 

政治家が会費を控除して税金減らす可能性を無くしたということらしいです。

 

でも、税理士の会費まで一緒にしないで欲しかった…

 

もっとも、私は開業税理士ですから事業所得で控除しますが。

 

 

 

使えるとしたら、上記の経費が集中して発生した場合や、

営業担当者等が、交際費等込みで給与をもらっている場合など、使えるかもしれませんね。

 

2012年

7月

05日

分かりずらい減価償却


減価償却と聞いても


事業をやられている方や、経理マンでない限り、あまり耳慣れない言葉だと思います。

事業で使っている資産は、使用に応じて価値は減りますね。
新車から2年目の車と10年使った車の価値が同じだとおかしいですからね。

この減った価値を見積もって、減価償却費という経費とすることで、正しい期間損益を計算しましょうね。

ということですね。


この減価償却、
最近、改正が続いてまして、計算方法が5パターンとなってしまいました。

5種類の計算方法を使い分けなければならないんです。


1. 旧定額法
2. 定額法
3. 旧定率法
4. 250%定率法
5. 200%定率法


と、言っても今やコンピュータがやってくれるわけですが…

 

しかし、あまりコンピュータに頼りすぎますと、バージョンアップ忘れて間違えた処理をした事に気付かなかい事もあり得ますし、改正後の計算方法の変更については、お客様への説明責任がありますから、
私たち税理士はしっかり理解していないとなりません。

 


さて、本題です。

最近の改正について。

 

これは個人の場合は、減価償却の計算方法に敢えて「定率法を選択」している場合に限ります。

逆に法人は、定額法を選択している場合は関係ありません。

 

特に選択した記憶のない場合は、原則が定率法である法人のみが今回の改正の対象となります。

 

 

〈改正内容〉
平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産は、原則、200%定率法により償却することになりました。


今までの定率法は、250%定率法といわれている方法で、定額法の償却率を2.5倍した数を定率法の償却率とし、
一定の時期に償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算(均等償却)するというものです。


これが、200%定率法となったという事は、償却率が少なくなったということになります

ただし、耐用年数を通して償却できる償却累計額は、どちらも同じ金額です。


定率法は、取得した当初の償却額が一番多く、経過年数と共に償却額が減っていく。
という償却方法なのですが、その曲線が緩やかになるということですね。

 

定額法と定率法
定額法と定率法

 

<改正後>
減価償却資産の購入当初の償却額が、今までよりも減ることになりますね

決算対策で中古の外車を買おうと思われている方、ご注意を…

 

たとえば、300万円の中古車を買ったとしましょう。

中古の耐用年数が2年の場合は、改正後も償却率は変わりません。

なんと、償却率1.0 つまり1年目にして全額償却可能。(期中で買った場合は月割り計算)

 

しかし、中古の耐用年数が3年以降となりますと、改正後は変わってきます。

改正前が0.833 改正後が0.667

1年目の償却額は、改正前が2,499,000円  改正後が2,001,000円

 

といった感じになります。

 


ただ、この改正には二つの経過措置があります。

 

(1)平成24年4月1日を含む期については、平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産についても、いままで通り250%定率法で良い。

 

(2)平成24年4月1日を含む期の申告期限までに、届出をすれば、その進行期又は翌期から、250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、200%償却率で計算できる。

 

 

(2)は、事務処理の負担を減らすための措置のようですが、適用初年度は下記の注意が必要です。

 

 ① 250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、適用すること。(一部採用はだめ)

 ② 耐用年数の修正が必要です。

 ③ 均等償却をしている資産には適用ありません。

 

 

もう、この辺りで訳分かりませんよね。

なんて面倒な改正を・・

 

◎平成19年時の改正では、「国際競争力を高めるため」とありました。

日本では従来より残存価額が取得価額の5%(税法)と決められていましたが、国際的には残存価額が0円がほとんどらしく、日本も備忘記録1円残しで償却が可能となりました。

 

◎平成23年時の改正で、250%→200%定率法にした理由は、

「法人税法上の措置である減価償却制度の償却速度を主要国並みに見直す」とあります。

 

 平成19年時の改正で、一度にやる訳にはいかなかったのでしょうかね・・

2012年

7月

02日

消費税の改正

6月26日の衆議院本会議で、「消費税の改正案」が修正議決され、参議院送りとなったのでは周知のとおり。

 

「消費税の改正案」と書きましたが、正式名称は長ったらしいので、あえて省略しました。

 

こちら、当初の案から削除された項目がいくつかあります。

 

1.所得税の税率の見直し。(最高税率40%→45%へ)

2.相続税の基礎控除の引き下げ等

3.贈与税の孫への相続時精算課税制度の適用など

 

これら3つが削除されました。

 

削除したうえで、再度検討しましょう。

ということに。

 

そして、問題の消費税は?

 

平成26年4月1日から8%へ。

平成27年10月1日から10%へ。

 

この増税前に考えられるのが

消費税が3%から5%になった際にも起こりましたが、

”住宅の駆け込み需要” ですね。

 

これには経過措置がありまして、

平成25年9月30日までの間に締結された工事・製造の請負契約に基づいて

平成26年4月1日以降に譲渡等を行う場合には、消費税は5%となります。

 

平成27年3月31日までに締結された請負契約で、

平成27年10月1日以降に譲渡等を行う場合には、消費税は8%となります。

 

住宅購入をお考えの方はご注意を。

 

ただし、前回の3%から5%への改正時では

マンションと建売住宅は、経過措置の対象外でした。

つまり、契約日にかかわらず、引き渡し時が平成26年4月1日以降であれば8%になるという事です。

今回はどうでしょうか?

 

「住宅取得については、平成25年度以降の税制改正で検討を行い、消費税引き上げ時に十分な対策を実施する」

とあるので、良い案が出ることを期待しましょう。

 

また、個人の住宅購入のみならず、事業者の方も関係してきますので

上記の期間中に請負契約したものについての売上の消費税、

間違えて払い過ぎないようにしないとですね。

 

といっても、参議院で可決されたらの話ですが・・

 

しかし、改正となった場合、

税理士試験の「消費税」また面倒なことになりますね。

受験生の皆さん、消費税を受けるなら、今年か来年にすると良いかもしれませんね。。

 

2012年

6月

27日

子供がいる家庭にとっては・・・

ニュースは消費税増税の話題で持ちきりですが、 

子供がいる家庭では、消費税だけでなく、16歳未満の子供の扶養控除の廃止も大きな問題ですよね。 

 

これは、子供手当を給付する代わりに、16歳未満の子供の扶養控除を廃止しますよ。

という趣旨ですね。

 

平成23年度の確定申告の際に、

「扶養控除がなくなったのはキツイよ~」

というお客様が多かったのですが、

 

平成246月から、更に追い打ちをかけ、住民税についても扶養控除が廃止されたので、例年より住民税が高いと驚かれる方が多いです。

 

 

ただ、よく計算してみますと、年収600万円で子供1人の場合。

所得税と住民税の増税額は、合わせて109,000

児童手当は、少なくても年120,000円はもらっています。

 

だから、中所得層の方は、結果は変わらない。

低所得層の人は逆に収入は増えてるはず。

高所得層の人は、収入は減っていると思いますが、

減っていると言っても、最高税率40%の方だとしても、

所得税と住民税の増税額は、165,000

児童手当が年120,000円でしたら、その差は45,000円です(子供一人あたり)

高所得層にとっての45,000円ですから、そんなに大きな負担ではないかと思います。

まあ、当事者にとっては、1円でも増税されるのは嫌だと思いますけど。。

 

 

さて、この児童手当。

 

みなさんご存知のように、「こども手当」を止める止めないという話から、

結局は名称を「児童手当」に変えて、引き続き給付されることになりましたね。

 

給付内容は今までと同じ金額ですが、今までと違うのは根拠法律が違うというのと、

「所得制限」を設けたことです。

 

今までは「こども手当法」

これからは「児童手当法」

 

給付内容は、「こども手当」の時と同じですが、

平成246月から、一定の所得金額以上の人は原則「児童手当」は0円となります。

ただし、特例措置として当分の間、月5000円が支給されます。

 

この所得制限額は、前年の所得で判定します。

つまり、今年の児童手当については、平成23年の所得で判定ですね。

 

また、所得制限額は、「年収」ではありませんのでご注意を。

 

会社員の方は、「給与所得控除後の金額」-8万円

自営業者の方は、「事業所得の金額」-8万円

 

が、所得制限の判定に使われる金額です。

 

この「事業所得の金額」は、青色申告特別控除の65万(または10万)控除後の金額です。

         

「扶養人数0人」というのは、例えば平成24年2月に子供が生まれた場合、所得制限の判定は前年の所得で判定しますので、今年の児童手当ての所得制限の判定の扶養人数は「0人」ということになります。

 

共働きの場合の所得制限額は、

どちらか所得が大きい人で判断れます。

つまり、夫婦の所得は合算されません。

 

これが、どういう現象を起こすかというと、

たとえば、世帯の年収が1000万円で、子供1人のケースを見てみます。

1. 共働き夫婦で子供1人のケース

2. 夫のみ働き子供1人のケース

このケースだと、1の共働き世帯は「児童手当」をもらえますが、2の片働き世帯はもらえません。

(当分の間は特例措置により月5000円もらえます。)

 

おかしな話ですね。

収入が多い方が手当をもらえるんですから。

 

ただ、この逆転現象、世帯代表の年収(これは年収です)が下記の場合であれば、

所得制限に引っかからないのでご安心を。

 

子供1人→875万以下

子供2人→917万以下

子供3人→959万以下

 

 

 

「児童手当」により多少は収入増える世帯もあると思います。

しかし・・

 

これで、少子化対策になっているのでしょうか

 

所得関係なく、子供を産み、育てることに積極的になれるような制度になれば良いのだと思うのですが、今の制度だと、

低所得層はメリットあるかもしれませんが、手当の金額はたかが知れています。

高所得層は、子供がいることで逆に損をする。(子供は損得の問題ではありませんが…)

 

こんな微々たる金額で少子化対策になるのだろうか。

 

お金の問題だけではない気もしますが

 

この問題は、長くなりそうなので、

またの機会に書きたいと思います。。

 

 

<参考法令は下記>

2012年

6月

25日

固定資産税はなぜ上がった!?

最近、お客様から、

「地価が下がっているのに、なぜ固定資産税が上がるの!?」

 

という問い合わせがあります。

 

今年は固定資産税評価額の見直し年度です。

固定資産税評価額は、3年に一度見直されます。

つまり、基本的に3年間は固定資産税評価額は同じになります。

 

普通に考えると、評価額が変わらない3年間は、固定資産税が据え置き。

前回の見直し年度である平成21年と比べて地価が上昇していれば、固定資産税も上がり、

地価が下がれば固定資産税も下がる。

 

と思いますよね?

 

ところが、

評価額が同じであっても、又は、評価額が下がっていても

固定資産税が上がる場合があるのです。

 

これは、固定資産税の計算方法が原因です。

 

昔は、固定資産評価額は公示価格の20%~30%でしたが、

バブルで高騰した地価との差を縮めるために、

毎年少しずつ固定資産税評価額を上げていこうと、

平成6年から「負担調整措置」という計算方法を取り入れることになったのです。

 

この「負担調整措置」、平成24年度の税制改正により、

平成26年から完全に廃止されてしまうのです。

24年と25年は、経過措置として廃止はしませんが、少し厳しくなっています。

 

どう厳しくなったのか?

 

おおざっぱに説明しますと、

 

今までは、今年の評価額が前年の課税標準額の20%以上

上昇していなければ、評価額は据え置かれていました。

 

これが、平成24年、平成25年は、10%の上昇で評価額が上がることになります。

 

この「前年の課税標準額」これがまた、分かりにくいんですよね。

「前年の課税標準額」=「前年の評価額」とは限らないのです。

 

だから、納税者には分かりにくい。

 

納付書と一緒に、「負担調整措置」についての説明書きが同封されていますが、

これは一般の方には非常に分かりにくい。

固定資産税に限らず、税金計算の方法が納税者に分かりにくいから、「税金は払いたくない!」と思ってしまう方が余計に増えてしまうのでしょう。

そんな方々に納得して頂くよう説明するのが、私たち税理士の責任でもありますので

ご不明な点はお気軽にお問合せください。

 

最後に・・・

平成26年からは負担調整措置が廃止になり、

地価が少しでも上がっていると、固定資産税評価額も上昇することになります。

もちろん、下がった場合は下がりますが。

 

こちらの方が分かりやすいですね。