分かりずらい減価償却


減価償却と聞いても


事業をやられている方や、経理マンでない限り、あまり耳慣れない言葉だと思います。

事業で使っている資産は、使用に応じて価値は減りますね。
新車から2年目の車と10年使った車の価値が同じだとおかしいですからね。

この減った価値を見積もって、減価償却費という経費とすることで、正しい期間損益を計算しましょうね。

ということですね。


この減価償却、
最近、改正が続いてまして、計算方法が5パターンとなってしまいました。

5種類の計算方法を使い分けなければならないんです。


1. 旧定額法
2. 定額法
3. 旧定率法
4. 250%定率法
5. 200%定率法


と、言っても今やコンピュータがやってくれるわけですが…

 

しかし、あまりコンピュータに頼りすぎますと、バージョンアップ忘れて間違えた処理をした事に気付かなかい事もあり得ますし、改正後の計算方法の変更については、お客様への説明責任がありますから、
私たち税理士はしっかり理解していないとなりません。

 


さて、本題です。

最近の改正について。

 

これは個人の場合は、減価償却の計算方法に敢えて「定率法を選択」している場合に限ります。

逆に法人は、定額法を選択している場合は関係ありません。

 

特に選択した記憶のない場合は、原則が定率法である法人のみが今回の改正の対象となります。

 

 

〈改正内容〉
平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産は、原則、200%定率法により償却することになりました。


今までの定率法は、250%定率法といわれている方法で、定額法の償却率を2.5倍した数を定率法の償却率とし、
一定の時期に償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算(均等償却)するというものです。


これが、200%定率法となったという事は、償却率が少なくなったということになります

ただし、耐用年数を通して償却できる償却累計額は、どちらも同じ金額です。


定率法は、取得した当初の償却額が一番多く、経過年数と共に償却額が減っていく。
という償却方法なのですが、その曲線が緩やかになるということですね。

 

定額法と定率法
定額法と定率法

 

<改正後>
減価償却資産の購入当初の償却額が、今までよりも減ることになりますね

決算対策で中古の外車を買おうと思われている方、ご注意を…

 

たとえば、300万円の中古車を買ったとしましょう。

中古の耐用年数が2年の場合は、改正後も償却率は変わりません。

なんと、償却率1.0 つまり1年目にして全額償却可能。(期中で買った場合は月割り計算)

 

しかし、中古の耐用年数が3年以降となりますと、改正後は変わってきます。

改正前が0.833 改正後が0.667

1年目の償却額は、改正前が2,499,000円  改正後が2,001,000円

 

といった感じになります。

 


ただ、この改正には二つの経過措置があります。

 

(1)平成24年4月1日を含む期については、平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産についても、いままで通り250%定率法で良い。

 

(2)平成24年4月1日を含む期の申告期限までに、届出をすれば、その進行期又は翌期から、250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、200%償却率で計算できる。

 

 

(2)は、事務処理の負担を減らすための措置のようですが、適用初年度は下記の注意が必要です。

 

 ① 250%定率法を採用しているすべての減価償却資産について、適用すること。(一部採用はだめ)

 ② 耐用年数の修正が必要です。

 ③ 均等償却をしている資産には適用ありません。

 

 

もう、この辺りで訳分かりませんよね。

なんて面倒な改正を・・

 

◎平成19年時の改正では、「国際競争力を高めるため」とありました。

日本では従来より残存価額が取得価額の5%(税法)と決められていましたが、国際的には残存価額が0円がほとんどらしく、日本も備忘記録1円残しで償却が可能となりました。

 

◎平成23年時の改正で、250%→200%定率法にした理由は、

「法人税法上の措置である減価償却制度の償却速度を主要国並みに見直す」とあります。

 

 平成19年時の改正で、一度にやる訳にはいかなかったのでしょうかね・・