国税庁は、7月13日
「庭内神祠(ていないしんし)」の敷地等についても相続税の非課税財産とする取扱いを発表しました。
「庭内神祠」とは、
個人の敷地内に、お稲荷さんや社などの 不動尊等があり、日常礼拝に供するものをいいます。
今までの取扱いは、
「庭内神祠」そのものは非課税財産であるが、その敷地等は非課税財産には該当しないとされてきました。
しかし、平成24年6月21日の判決により、
社会通念上、一体のものと言えるものてあれば、その敷地等も非課税財産とするとされています。
ただ、お稲荷さん等の敷地がすべて非課税になるのではなく、
その敷地がお稲荷さん等と一体であると認められる部分のみが非課税となります。
「一体」とは、どういう状態なのか?
下記の3つの点から判断されることになります。(税務通信より)
1)庭内神祠の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性などの現況等といった外形
2)設備及び附属設備等の建立の経緯、目的
3)現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能面
これら3つの観点から、社会通念上一体のものとして、礼拝の対象とされていると言ってよい程度に
密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備は、非課税財産に該当する。
とのこと。
今回の裁判の事例の場合、下記の点から非課税財産とする判決が出ています。
→庭内神祠は代々祀られてきたもので、
→コンクリート打ちの土台に固着され、
→敷地には鳥居や参道が設置され、
→小さな神社の敷地内の様相である
たまに、庭にお稲荷さんのある家を見かけますよね。
今後は、このお稲荷さんの敷地部分についても非課税になるとのこと。
ただし、敷地全部ではありませんのでご注意を。
あくまでも、一体であると認められる敷地部分です。
また、これは既に申告が終わっている相続税についても適用できます。
「更正の請求」ですね。
通常の更正の請求は、法定申告期限から5年以内(*)ですが、
5年を過ぎている場合でも、非課税となるという取扱いを知った日の翌日から2月以内であれば、更正の請求ができます。
国税通則法でいうところの
「後発的事由」ということですね。
*法定申告期限が、平成23年12月1日以前の場合は1年
*************************************
さて、ここで疑問です。
今は日常礼拝に供していない場合はどうなるのでしょう?
私見ですが、
上記の取扱いを見る限りは、非課税にはならないということでしょう。
しかし、お稲荷さん等を撤去するには、費用がかかりますよね。
その費用は評価から減額できないのでしょうか?
相続税は、相続人の死亡時点の現況で判断されます。
相続した後に、撤去するとしても、それはあくまでも相続人が相続後に行うこと。
自宅の敷地と同じ考え方ですかね。
自宅の敷地を相続したあとに自宅を取り壊しても、取り壊し費用は評価減出来ませんので。
しかし、日常礼拝に供さなくなったお稲荷さんというのも祟りがありそうで怖いですね。
祖父母の代まで日常の礼拝に供していたが、代が代わったら放置されるようになった…
信仰心の少なくなった現代、あり得るお話だとは思いますが、放置は少し怖いような…