皆さんこんにちは。
税理士、ファイナンシャルプランナーの松島由紀子です。
確定申告ネタ part2
「修繕費」
個人も法人も共通の話題なのですが、
修繕費を経費に出来るか出来ないか、判断をしにくいケースがあります。
たとえば、個人の場合ですが、
不動産所得は普段あまり経費となるものがないので、
物件の修繕をした時には、ここぞとばかりに全額を経費に入れたくなります。
しかし、修繕費だと思っていても、税務上は経費に出来ないケースがあります。
たとえば、システムキッチンやユニットバスについては、
2014年4月21日 国税不服審判所裁決で、
システムキッチン等の取替工事費用は資本的支出と判断され、修繕費であるとした納税者の審査請求が棄却されています。
入居者が退去した後の原状回復費用は、原則修繕費となります。
「しかし、システムキッチンやユニットバスの全部取り替えは、建物の資産価値を高めるということで、修繕費とは言えず、資産計上すべき」
との国税不服審判所裁決です。
それも、建物の価値を高めるので、資産種類は「建物」
すると、耐用年数も建物の耐用年数を採用します。
しかし、建物の耐用年数を見ますと、木造住宅でも22年
実際は、もう少し早くに取り替えるかもしれませんが、
22年で減価償却費を計算しなければなりません。
経費の少ない不動産所得ですから、
耐用年数を短くして、毎年の減価償却費を増やしたいところですが、取り替え期間を耐用年数とするのではなく、
実際に取り替える時点で、未償却残高を除却損とし経費に落とします。
そのため、建築当初の内訳明細を保存しておくことをお勧めします。
建築時又は購入時に、一括で「建物」としていますと、
システムキッチン等を交換した時に、撤去したシステムキッチン等の金額を除却損として経費に落とすため、
金額を把握する必要があるからです。
金額が不明の時は、合理的な方法によりシステムキッチン等の金額を計算します。
今回の裁決では、床面積により按分しています。
他にも修繕費を経費に出来るか出来ないか迷う事もあると思います。
修繕費なのかそうでないのか(資本的支出)が不明の場合は、(所得税基本通達37-14)により、形式基準が設けられています。
判断が難しいときは、税務署に問い合わせるか、専門化に相談しましょう。
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原則、修繕費に限らず経費と出来るものは下記となります。(所得税法第37条第1項)
1. 売上
2. 収入を得るために直接要した費用の額
3. 販売費、一般管理費
4. その他その業務について生じた費用
(その年において債務の確定しないものを除く)
修繕費に関しては、(所得税基本通達37-11,37-12)で具体的に例示されています。
1. 業務の用に共されている固定資産の修理、改良等
2. 固定資産の通常の維持管理
3. 災害等により毀損した固定資産の原状回復費用
4. 20万円未満
5. その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合