2015年

8月

03日

分かりにくい固定資産税

 

平成26年9月9日のブログ「過大な固定資産税を払っているかもしれない」でも書きましたが、平成27年8月1日の日経新聞にまた掲載されていたので気になりました。

 

日経新聞の記事の概略はこう。

 

長年、固定資産税の計算を間違えられていて、住宅地なのに住宅地以外の高い税額を徴収されていた夫婦が、固定資産税を滞納して、自宅を競売にかけられた。

 

その後、その家を取得した不動産業者が、高い固定資産税に疑問を感じ問い合わせをして、間違いが発覚したというもの。

 

http://mw.nikkei.com/tb/#!/article/DGXLASM415H07_R30C15A7SHA000/

 

自宅は既に競売にかけられ、手放してしまった。

既に他の人が住んでいる。

 

結局、元の家には戻れずアパート暮らし。

 

ひどい話ですね。

 

 

固定資産税の計算方法については、以前ブログで書きましたが、固定資産税は、市区町村の特別な研修を受けた人が評価しているようです。

 

「固定資産評価基準」と「評価点の一覧表」を見て、評価点を積み上げ計算します。

 

やり方さえ分かれば、誰でも出来るようになっているのでしょう。

決して、不動産鑑定士が評価している訳ではありません。

 

つまり、素人が評価してると言っても良いのではないでしょか。

 

今回、問題となったのは、住宅地の特例を受けられてなかったとのこと。

 

住宅地の特例とは?

 

200㎡までの敷地に対して、固定資産税評価額の1/6を課税標準(課税の対象となる金額)とするという特例です。

 

それが、非住宅用地として課税されていたとのこと。

 

市区町村が計算しているのだから間違えてないだろうという思い込み。

税理士など税金に興味のある人でない限り、疑問に思わないのが普通でしょう。

 

高すぎない!? と思ったら、「固定資産税評価額の縦覧制度」を利用しましょう。

 

ただし、縦覧できる期間は決まっているので注意が必要です。

平成27年度は4/1~6/30まででした。

縦覧は価格改定を行う3年に1度しか出来ません。

 

縦覧制度は、自分の家の土地家屋と同じような構造等の他人の土地家屋の評価額を見れる制度です。

もし、他人の土地家屋と比べて極端に金額が高かった場合、「審査の申出」という制度を使って、不服を申し立てることが出来ます。

 

ただし、「審査の申出」も期限があり、納税通知書の交付を受けた日後60日なのでお気を付け下さい。

 

手続き等に不安がある場合、税理士等にお問合せください。

 

 

 

 

2014年

9月

09日

過大な固定資産税を払っているかもしれない!?

今朝の日経新聞のニュースです。

固定資産税を何十年も間違えた金額で払っていたケースが続発したとのこと。



ミスの原因は、職員が土地面積をパソコンに入力する際に数字を間違えたり、
住宅用地の減額特例を適用し忘れたりと様々。九州のある自治体の担当者は
「職員の担当は数年で替わり、税務と全く関係ない部署からの異動も多い。知識や経験が不足気味になる」
と明かす。新座市や加古川市では、歴代担当者がミスに気づかず、誤った課税を数十年も引き継いでいた。



「固定資産税」

この計算は非常に複雑です。
税額に疑問を感じたら、不服を申し立てることは可能ですが、
期間が限られているので使い勝手が悪い。

その上、税額を自分で確認しようにも、複雑過ぎて難しい。

お役所のやることだから間違いないだろう
と、不満を感じながらも納税している人も多いでしょう。

固定資産税について少し整理してみます。



(課税する人は誰?)
市町村です。23区は東京都が課税します。

(納税義務者は誰?)
1月1日時点の土地建物の所有者です。
年の途中で売買した場合は、売却した人です。

実際は、購入時に月割り精算することになりますが、あくまでも納税者は前の所有者です。

(税率)
1.4%
 ※市街化区域内の土地建物は、固定資産税の他に都市計画税(上限0.3%)が課税されます。

(計算方法)
「課税標準額×税率」で計算されます。



ここまでは簡単に理解できますね。


この「課税標準額」が問題になります。
原則は、「課税標準額=固定資産税評価額」 ですが、
住宅の場合は減額されたり、土地の場合は、負担調整という何やら怪しい調整が入るので、
必ずしもイコールになる訳ではありません。


固定資産税評価額は、
国が定めた「固定資産評価基準」を基に、地方自治体の職員が計算します。

路線価とか、公示価格とは別に独自の方法で計算されます。
あまり詳しく書くとマニアックな話になってしまうので簡単に…


土地は、土地の種類(宅地、農地、山林など)ごとに、
その土地の状況(角地、不整形地、大通りに面しているかなどなど…)により評価していきます。

家屋は、再建築価額で評価します。
「その場所に同じ家屋を新築するとした場合の価格」です。

これは、建築資材の金額の積み上げ方式です。
建築資材の種類ごとに時価が決まっていて、
この家は、この建築資材をどのぐらい使っているから金額はいくら…
というように計算します。

再建築価額を基準に、経年劣化等による減額を考慮して評価替えがされています。
この減額率は、木造と木造以外では異なりますが、
基本的には、建築材料や労務費の単価が下がれば、評価額が下がることになります。
単価が上がり、評価額が上がった場合は、評価額が据え置かれます。

つまり、その地域の評価時の物価水準に評価額が左右されているということになります。

重要となる再建築価額は、どんな立場の人が計算してるのか?
我が家に来たお役所の人に聞いてみました。

正式名称は忘れましたが、お役所内の資格のようなものがあるようです。
要は研修を受けた人ってことかしら…?

まぁ、この辺は深くは追及しません…


固定資産税評価額は、時価よりも低いのが普通です。
だいたい、土地は、時価の60%~70%
家屋は、時価の50%~70%と言われています。

時価が下がれば通常は固定資産税評価額も下がります。
ただ、3年に一度しか評価替えをしないので、すぐに反映はされません。
ちなみに、来年、平成27年が評価替えの年です。

不服申し立て(正式には審査の申出)は、原則、評価替えの年のみしか出来ないので
評価替えの年には要注意ですね。

審査の申出期間は決まっています。
4月1日~納付書が送られた日から2月以内です。


ただし、平成26年6月6日に改正法が成立し、期限が延長になります。
4月1日~納付書が送られた日から3月以内に延長です。
1ヶ月のびました。 具体的な施行日はまだ決まっていません。

来年の4月以降に納付書が届いたら確認してくださいね。
もしかしたら、お役所の職員さんが桁を間違えているかもしれません・・・

2012年

6月

25日

固定資産税はなぜ上がった!?

最近、お客様から、

「地価が下がっているのに、なぜ固定資産税が上がるの!?」

 

という問い合わせがあります。

 

今年は固定資産税評価額の見直し年度です。

固定資産税評価額は、3年に一度見直されます。

つまり、基本的に3年間は固定資産税評価額は同じになります。

 

普通に考えると、評価額が変わらない3年間は、固定資産税が据え置き。

前回の見直し年度である平成21年と比べて地価が上昇していれば、固定資産税も上がり、

地価が下がれば固定資産税も下がる。

 

と思いますよね?

 

ところが、

評価額が同じであっても、又は、評価額が下がっていても

固定資産税が上がる場合があるのです。

 

これは、固定資産税の計算方法が原因です。

 

昔は、固定資産評価額は公示価格の20%~30%でしたが、

バブルで高騰した地価との差を縮めるために、

毎年少しずつ固定資産税評価額を上げていこうと、

平成6年から「負担調整措置」という計算方法を取り入れることになったのです。

 

この「負担調整措置」、平成24年度の税制改正により、

平成26年から完全に廃止されてしまうのです。

24年と25年は、経過措置として廃止はしませんが、少し厳しくなっています。

 

どう厳しくなったのか?

 

おおざっぱに説明しますと、

 

今までは、今年の評価額が前年の課税標準額の20%以上

上昇していなければ、評価額は据え置かれていました。

 

これが、平成24年、平成25年は、10%の上昇で評価額が上がることになります。

 

この「前年の課税標準額」これがまた、分かりにくいんですよね。

「前年の課税標準額」=「前年の評価額」とは限らないのです。

 

だから、納税者には分かりにくい。

 

納付書と一緒に、「負担調整措置」についての説明書きが同封されていますが、

これは一般の方には非常に分かりにくい。

固定資産税に限らず、税金計算の方法が納税者に分かりにくいから、「税金は払いたくない!」と思ってしまう方が余計に増えてしまうのでしょう。

そんな方々に納得して頂くよう説明するのが、私たち税理士の責任でもありますので

ご不明な点はお気軽にお問合せください。

 

最後に・・・

平成26年からは負担調整措置が廃止になり、

地価が少しでも上がっていると、固定資産税評価額も上昇することになります。

もちろん、下がった場合は下がりますが。

 

こちらの方が分かりやすいですね。